■ホンダ S660のフロントショックはストロークの確保が難しいです。 拡大写真
ホンダS660のフロントショックは、ナックルからアッパーマウントまでの距離が短く、かつナックルのショックアブソーバー装着穴サイズが小さいため、一般的な直径のショックアブソーバーを穴に通す事が難しいので、理想的なストロークを確保するためにはすべてのパーツを新規製作する必要があり大変です。
例えば、フロントの1Gストロークが40mmのばね(約5k)を使おうとすると、35mm長さのバンプストップを使ったとして、40+35=75mmのアブソーバーストロークで1Gでバンプラバーに接触してしまうため、30mmの圧側ストロークを取るためには最低でも105mmのストロークが必要ですが、一般的な直径のショックアブソーバーではこの数値を確保するのはほぼ不可能で、数種類の車高調を確認しましたが、すべて60〜80mm程度の長さしかなく、1Gでバンプタッチしているものばかりでした。
対してリアのアブソーバーはすごく長いため、バンプタッチするようなものはなく、結果リアが伸びたり沈んだりして走行していますから、基本アンダーオーバーになってしまいます。
乱暴に言うとフロントだけダウンサスを組んだ車のような動きと言うわけです。
これを避けるにはフロントの少ないストローク分で足りる固さのばねを使う事ですが、S660の車重で8kや10kのばねを使うのもどうかと思いますから、悩ましいところです。
写真のアブソーバーは2年くらい前に私たちが制作したもので、ストロークは120mmほど確保していますが、すべてのパーツを新規設計したのでとても高いものになったのを覚えています。
・ノーマルで乗るか
・車高は落とさないか
・車高を落として底付きして走るか
・車高を落とし完全ワンオフでストローク確保した高額アブソーバーをつけるか
という悩ましい車がS660なのです(苦笑)