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2023年03月28日
フェアレディZや最近の姿勢制御連動ABS付き車両におけるブレーキバランスについて 記事詳細
このZのブレーキに関するブログをご覧になってくださった常連のお客様から、ブレーキのバランスについてご質問メールをいただき、返事を書いていたところ「あれ?これは疑問に思っている方が多くないか?」と感じたため、ブログでお知らせする事にしました。

https://deck-japan.co.jp/pnews/?DOC_NO=20230318094930&ACTION=DETAIL

ご質問は下記のとおりです。
以下の点についてお聞きしたいと考えます。

貴店のRZ34へのコメント:
ノーマル車両のブレーキの前後バランスは、最近のスポーツカーとしては良いと感じましたが、
少し前が強く効く傾向なので、車が沈み込むようなブレーキフィーリングをお好みの方は、
リアを少し強めに効かせるセッティングの方が良いと思います。※
お勧めのブレーキバランスは、使用するキャリパーが下記のとおりだとしますと、
前後同サイズが良いと思います。
※ 上記のような感想を持ったのは、標準車(18インチ)での話ですよね?

お聞きしたい点:
RZ34のブログに、上記のコメントがありました。
自分も前のめりより、4輪が沈み込みの方が良いと思いますので、
貴店 お薦めの 前後同ローター径(Φ380o)に、興味があります。
(前後同サイズにする場合は、前後共にAP製キャリパーにします。)
ちなみにデメリットは、何かありますでしょうか?


それに対する返答は下記のとおりです。

僕のブログをご覧くださりありがとうございます。

フロントが強い傾向は18インチ、19インチともに感じ、
どちらかと言うと19インチの方が前よりです。

最近の車は、死亡事故につながりやすい側面衝突を極端に嫌って、
フロントを早期にロックさせABSを介入させることで、
スピン状態に陥らず前からぶつかるようにしています。

ですから効きが強いブレーキの方が、より前寄りのブレーキになっているのです。

ただ、これら車両の行う制御は、運転技術が普通レベル以上のドライバーにとっては足かせになりますので、個人的には不要だと思いますし、前後のブレーキバランスは機械的に正しくとっておいた方が良いと考えます。

リアが強く効く場合、リアが沈み込むように効くため多くの場合は安定傾向です。
雨の急な下り坂ではリアが少しブレークするくらいの前後バランスくらいが、
99.9%のシチュエーションでは安定して効くと思いますが、
それですとABSの作動が遅れ、姿勢制御下におけないのでノーマルは早くロックさせるわけです。
車に全く興味のない人達にとっては嬉しい装備ですが、
そうでない人間にとっては先にも書いたように、
人間のコントロール領域を減らしてしまう邪魔なセッティングだと思います。

以前のお車でフロントブレーキだけを交換なさった時より、リアをやられた時の方が沈み込むように安定するようになって、かつフロントのブレーキ負担が減り、フロントの発熱もしにくくなったと思いますが、それと同じことにZもなってきます。

デメリットはスポーツ走行経験のあるドライバーには無いと言って良いですが、
理屈としては、コーナリングのターンインはそれまで安定して直進していた車を「意図的」に不安定方向にする行為で、ブレーキは減速以外にも、不安定にさせるきっかけとなりますから、そういった点で安定しているときっかけは作りにくくなります。

高速コーナーはハンドルの動きで十分?不安定になりますからブレーキングが安定したことのデメリットはありませんが、低速コーナーではブレーキで不安定にする割合が増えますから、きっかけが作りにくくなります。

しかし、低速コーナーでのきっかけ作りのしにくさは、多くの場合はドライバー操作で解消出来る範囲なのと、最近のABS、姿勢制御システム搭載車両の場合は、不安定な姿勢になる事を嫌って制御しますから、フロントが強く効く場合、むしろ早期にこれら制御が介入し安定志向になってしまい、結果として制動時間は伸びますから、結局は機械的に前後バランスを取ってあげた方が良いと思います。
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