
実はハチロクは発売時からずっと煮詰めている車ですが、足に関しては特徴的な水平対向エンジン搭載によるストラットの角度や、ストロークに伴うリアタイヤの回転などが要因で、今一つ決めきる事が出来ませんでしたが、この度これだ!と言う足のセットになったので、新型が出る前になんとか決めることに成功できました。
今回の一番の改善点は倒立ストラットのベアリングの変更で、通常はクランクシャフトなどのメタルのようなもので、ショックのストロークや横応力を支えるのですが、このメタルブッシュの場合は横応力がかかるとストローク時に抵抗が増してしまうので、これをローラーベアリングに変更し、横応力がかかった際にもスムーズにストロークするようにしています。
なぜこんな凝ったものが必要かと言いますと、ハチロクは幅の広い水平対向エンジンを搭載するがゆえに、ショックアブソーバーが直立に近く搭載されています。
通常はストラットが斜めに設置され、横応力をある程度キャンセルするようになっていて、すーむーずにストロークできるのですが、ハチロクはショックが横応力を受けるためストロークする際の抵抗が大きいのです。
簡単に言うと、コーナリング中だけバネレートが上がったようになってしまうので、横Gがすくないコーナリング中にニュートラルステアにセッティングすると、横Gが大きなコーナリングではアンダーになってしまうので、各コーナーでアンダーオーバーの挙動が変わってしまうのです。
当初はリアのバンプストップを工夫したり、伸びストロークを増したりしていましたが、根本解決に至りませんでしたので、今回は非常に高価なローラーベアリングを採用し根本解決をしたというわけです。
ローラーベアリングの効果は絶大で、これで普通の車のように一貫した挙動を手に入れることに成功しました。
また、これによってリアはヘルパースプリングやバンプストップを入れなくても良くなったため、高速コーナーでリアがめくれ上がるような挙動や、低速コーナーでの急激なオーバーもすっかりなくなり、本当に良いFRスポーツにチューニングできたと思います。
また、18インチホイールの導入でさらに自然な挙動を手に入れる事が出来ましたし、それによってより大型のブレーキを装着する事が出来ましたから、万事うまくいって、これでハチロクの集大成とする事が出来ました。
いやー長かったです。本当に悩みまくった車の一台ですね。