一般的にはスポーツカーのイメージの少ないマークXですが、シリーズ最終型となるGRX133型はスポーツ志向の強いGR SPORT (旧G,s)。まさにスポーツセダンを狙ったマニュアルミッション搭載の限定車GRMNと、トヨタ自動車もマークXをスポーツセダンとして仕立ててきたことが分かります。
私たちはマークXの車両を測定した際に、そのポテンシャルに気がつき、弊社としてはシリーズの終了が決まったランサーエボリューションの後釜として、マークXを「スーパースポーツセダン」に仕立てる事にしました。
マークXの武器は、トルクフルな3.5リッターV6エンジン、比較的大柄ながら、だからこそ設計に余裕があるサスペンション、そして国産としてはトップクラスの高剛性ボディーでしたから、低中速のトルクダウンを招く恐れのあるエンジンチューンには手を付けず、私たちが最も得意とするシャシー関連のチューニングによって、マークXに一層の速さを身に着けさせる事にしました。
シャシー関連のチューニングと言うと、ダンパーやスプリングの交換を思い浮かべる方が多いと思いますが、大柄かつハイパワーなマークXの場合はブレーキのチューニングが必要不可欠です。ノーマルでフロントに対向4POTキャリパーを備えるマークX3.5ですが、正直他車種の純正ブレンボや対向キャリパーと同様に、サーキット走行をはじめとする高負荷走行に耐えるものでは無く、商品性と市街地走行での効きの良さを狙ったものなので、安心して高負荷走行をするために「APレーシングの前後ブレーキキット」を装着しました。
ノーマルローターサイズはフロント334mm、リア310mmと市販車としては比較的大きなものですが、マークXでは高速道路でのパニックブレーキですら安心とは言えませんから、当初選んだのは、フロントはCP5555型6POTキャリパーと360mmガーランドローター、リアにはCP5147型4POTキャリパーと336mmガーランドローターですが、これは18インチホイールを装着するうえでのサイズ選択で、本来ならさらに大型なシステムを装備したいのが本音です。
とは言え、APレーシングとガーランドローターの組み合わせは強力で、この事によりパッド、フリュード、ローターの基本管理さえすればブレーキトラブルとは無縁となってくれました。